「風立ちぬ」の喫煙シーン

カフェ・プーランクは、入り口ドアにデカデカと「禁煙」というプレートをぶら下げています。
毎日のように当店に通っていただいているFさんは、モーニングを食べた後、「ちょっとタバコを吸いに行ってくるわ。」といって階下の空き地にタバコを吸いに行き、そしてまた戻ってきて2杯目の珈琲を飲まれます。
僕自身はどうかというと、今はタバコはほとんど吸いませんが、たまに吸う一服、それはそれは美味しいものです。

さて、今日は久し振りに猪名川町を脱出、梅田に宮崎駿の「風立ちぬ」を観に行って来ました。
喫煙シーンが多いことが取り沙汰されていますが、多少その興味もあって…
一番印象に残ったシーン。
寝床についた結核の妻の手を握りながら、主人公が飛行機の設計の仕事をする場面があります。主人公は、「タバコが吸いたくなった。」と妻に言います。
妻は「吸って下さい。ただし手は放さないでね。」と応え主人公は、タバコを吸います。
このシーンが本当に美しかった! 本当にいいシーンでした。
結核の妻の横でタバコを吸う。とんでもない!!!  こういう反応があるとすれば実に「無神経」な感じがします。
戦争下で一日一日を精一杯生きている二人にとって、現代のいわゆる「健康志向」みたいなものは全くお門違いなのです。
宮崎駿さんは確信犯的に喫煙シーンを入れたのではないでしょうか?
表層的な禁煙ファシズムに抗議する意味もあって…。
 

2013年8月19日